格下げ

入院中の友人からメールが入った
病室の移動の連絡だった


最近は毎日は顔を出していない
行くとつい長居をしてしまうし、他の人と重なると悪いかと思い、人気のなくなった頃に遊びに行く作戦に切り替えたのだ


友人いわく誰も来ない日が出始めたそうだ
ヤツの人気にも陰りが現れた
もう手術もして抜糸も済んでいるそうで骨がくっつくのを待ちながらのリハビリ生活らしい
今のタイミングなら、さぞ見舞いは有難がられるだろう


しかし今回の病室移動は明らかに格下げだ
最初の部屋はA棟で建てられて2年のかなり設備のよい部屋だった
ベッドは電動リクライニングだったし、テレビも液晶でアームの角度を変えれば好きな体勢で見られた
照明なんて温かみのある間接照明でお洒落な感じがしていた
通路も広い
とにかくお洒落感と高級感の漂う病棟だったのだ


しかし今回のB棟はといえば、以前からあった病棟らしく全体的に古い
部分的にはキレイに改装してあるようなのだが、A棟とは比べ物にならない
B棟に向かうのに近代的なA棟を通り抜けるのだが、A棟とB棟をつなぐ渡り廊下からして古い
歩くと変な音がする
なんだか小学校の時のプレハブ校舎を思う出す歩き心地


長い渡り廊下を抜けてB棟へ入る
診察時間が終了しているからだろうか
なんだか暗い
照明のせいだけとは言いがたい雰囲気だ
2Fに上がり再度渡り廊下を歩くのだが、すでに渡り廊下の照明が消されている
30メートルくらい向こうに明かりが見える
なんだ、この大学の研究棟ような雰囲気は


ようやく友人の病室にたどり着く
遠いよ!!  (´Д`|||) ハァハァ
友人の環境はA棟とは比べ物にならないものだった
本人も格下げだと呟いていた
ベットのリクライニングは手動
しかも友人の出来ない位置にハンドルがある
テレビはブラウン管
照明は寒々とした蛍光灯


どうやら治療のある人間はA棟で、リハビリや安静のみの人間はB棟送りにされるらしい
しかも料金はAもBも一緒
友人はA棟にいるときに暇なあまりに熱心に怪我をしている左ひざを曲げられるようにしていたらしい
医師やトレーナーにも早いね!と褒められたそうだ
褒められた結果がB棟への近道切符