立場が逆転

仕事だった


仕事を終えてダメモトでフィットハウスへ行く
やっぱり気に入る靴がない
どこもかしこも夏モードで浮かれすぎだ


自宅に帰ってママンと食事をとる
今日はママンは一日、私の台所の構想を練っていたそうだ
私たちは趣味が似ているので私の台所は実家に似たようなものがそろうと思われる
ママンに「一緒にノリタケに行こうね」と言われた
楽しんでるなぁと少し呆れながら「私のお金で好きなもの買いまくれるから楽しいよね」と憎まれ口をたたいた


でもママンは「もちろん私が出すわ」と言う


別に自分で買うからいいよと断るとママンは下向きかげんで「せっかく娘を産んだんだからこれくらいはさせてよ」と言ってくれた



食事が終って彼の家に向かう
新幹線は22時くらいまではあるので余裕だ
のんびり準備してママンに見送られながら出掛けたらハンカチを忘れたことを思い出した
妹にもらったハンカチを持っていくつもりだったので取りに帰る
ママンに「バカねぇ」と呆れられた
また見送ってくれた


お父さんは出かけていたのでメールをする
「では行ってきます」
返事はなかった


新幹線のホームに向かう途中、いつもなら彼にあえる嬉しさでいっぱいなのに今日は家族から自ら離れていく悲しみで涙が出た


新幹線の中ではどうぶつの森で気がまぎれたけど、乗り換えてからまた涙が出てきた
最初は一見、花粉症の人っぽいレベルだったけど、だんだん明らかに失恋レベルの泣き方になってきた
もういいやと人目も気にせず泣いてやった


駅まで迎えに来てくれた彼に会っても涙は止まらない
理由も言わないから心配させた
でも理由を話してても泣きそうになるから黙っておいた
夜になってもお父さんから返事はない
なんだか泣けてきた


友達には「好きな人と結婚できるんだから」とは言われた
でもどっかで寂しい気持ちは拭い切れない
家族も友達いない土地
近そうだけど本当は遠いのは自分が一番知ってる


でも逆でもあることも知ってる
遠そうで意外と近い
気持ち次第だ
あっちはテレビがおもしろいし